よき夜を 2024.04.19 ふわふわ

今日も一日、今週も一週間、お疲れさまでした。
大切な時間をお過ごしになられたことでしょう。
夜中の大きな地震に驚かされた今週でした。
ミケパンチ生息地は震度１。
何故か寝付けずに本を読んでいたら小さな揺れを感じて
ネットを開いて知りました。
今年は、何処で何があっても、おかしくない。
ほんとうはいつもそうなのですが、今年はそれを実感します。
助け合える世の中であれば、そう心配しなくていい気がしますが
正直なところ現状はそうではありません。
（そして最も頼りにならないのが公という情けなさ…）
自分の備えをしつつ、
諦めず、こつこつと、やっていくしかありません。

桜の季節は過ぎてゆきました。
荒れ庭には花が咲いて、草がもりもりと生えてきます。
そうゆっくりもしていられない春なのですが
春こそはゆっくりしたいのです。
ふわふわ、ゆるゆるとしていたいのです。

冬に固く眠っていた命の数々が生き生きとしてきて
それをふんわりと眺めていたいのが春なのです。
ツバメが空を飛びまわり、水鳥がＶ字編隊で高く飛んで行くのを
ずっといつまでも眺めていたい。
蝶がふわふわと来て、カナヘビが草取りをする横をちょろっとすり抜けていく。
いいなぁ、その体、うらやましい。腰が痛いなんてこと、ないんでしょう。
生き物たちに、つい愚痴を言ってしまいます。もちろん聞いてもらえません。

彼らにそんな暇はない。人間ごときの甘えた愚痴に付き合ってなどいられない。
春が来たのですから、全力で生きるのです。
花粉を集めるのです。巣を作って卵を産むのです。命の営みをするのです。
座り込んで他の生き物を眺めて羨んだり悩んだりするのは
彼等の命にはオプションでも入っていないのです。
自（おのずか）ら然（しか）らしむるのです。

おのずからしからしむれない存在になってしまった人間としては
余計なことで頭をぐつぐつとさせながら、
彼らが生きているのを羨ましく感じつつ、眺めさせて頂いて、
できれば春はふわふわとにこにこと過ごすのです。
そのうちに、おのずからしからしむるの感覚が、
ほんのちょっとだけでも内側から思いだせるかもしれません。
それを覚えて生きることが出来れば、しめたものです。
地に足つけつつふわふわな春です。

どなたさまも、よき夜を、よき一週間を。

「鉛筆で描いた猫」展に出品した作品の一部と言葉で構成しました。
お楽しみ頂けましたら幸いです。

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カラー版は用紙がホワイトで絵が少しビビッドに感じられます。
各ページにカラーの枠があります。展示した時のマットの色に合わせてあります。
モノクロ版は用紙がクリーム色で落ち着いた雰囲気です。
枠はなく、シンプルな本です。
サイズはどちらもA5、46ページです。

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