よき夜を 2024.07.19 ぐるぐる

今日も一日、今週も一週間、お疲れさまでした。
大切な時間をお過ごしになられたことでしょう。
いよいよ正式に(?)夏がスタートのようです。
くれぐれも、ご自愛くださいませ。

ミケパンチは久し振りのギャラリーへ出かけました。
近江八幡にある、ボーダレスアートミュージアムNO-MAです。
アールブリュットの作家の作品を主に展示するギャラリーです。
ミケパンチはアールブリュットの作品がたいへん好きで、
以前は足しげく通っておりました。
ここ数年は足が遠のいておりましたが、思い立って行ってみました。
静かな人のいない空間で、作品をゆっくりと鑑賞しました。

一階が展示スペース、二階がワークショップスペースになっていました。
一階の作品を観て、毎度ながら「うひゃあとてもかなわない」と
気持よく打ちのめされて、にこにこしながら二階へあがってみました。
コラージュなどいくつかのワークショップがある中で、
わたしは「ぐるぐるドローイング」というものを選んでやってみました。
スケッチブックと色鉛筆やクレヨンなどが置いてありました。
好きなものを使って、その画面に心ゆくまでぐるぐると描きなされと、
そういう趣旨のようでした。
私は金色の色鉛筆を選んで、紙に向かい、ぐるぐると描き始めました。

はじめのうちは、形をととのえて描きたいなどという欲がありました。
ぐるぐると描いているうちに、そんなことはどうでも良くなってきました。
腕をただ動かして、ぐるぐると線が生まれてくるのが快感になりました。
ぐるぐる、ぐるぐると、ただ金色の色鉛筆を動かし続けました。
そうして、止められなくなりました。

ぐるぐる、ぐるぐると腕を動かします。
はるか昔からやっているような気がして来ます。
ふと、どこで止めたら良いんだろうと、つまらない意識が浮上してきて、
ぐるぐるが乱れます。
あ、こんなところに線を入れてしまったと、一瞬だけ後悔しますが、
すぐにどうでもよくなります。
ぐるぐる、ぐるぐると腕を動かします。
どこかで止めなくてはと、頭では思います。
ここで止めようと思うのです。腕は止まらないのです。
どれくらいの時間、ぐるぐるをやっていたのか判りません。
別のグループの人たちがぐるぐるを始める気配に、
我に返って、腕を止められました。
色鉛筆の芯は、ぺったんこにすり減っていました。

出来上がったのがこちらです

この絵はギャラリーにそのまま置いてきましたので、手元にありません。
ぐるぐると腕を動かしていた時間を思い返しながら写真を見ていると
意識が乱れてはみ出した線も、ぐるぐるの形も、
スケッチブックのサイズも、金色の鉛筆も、
すべてが丁度よかったのだと感じられます。
この日にギャラリーへ行ったのも、丁度よかったのでしょう。
このぐるぐるが、私のぐるぐるなのです。
生きてきた道のりも、これから生きる道のりも、これでいいのだと
不思議に気が軽くなった体験でした。

どなたさまも、よき夜を、よき眠りを、よき一週間を。