よき夜を 2024.03.08 木の芽どき

今日も一日、今週も一週間、お疲れさまでした。
大切な時間をお過ごしになられたことでしょう。
雨が降ったり気圧が下がったり。
きらきらな春はもう少し先のようです。
ご自愛くださいませ。

春の気配がどんどん濃くなってくるこの季節。
「木の芽どき」なんて言葉がありまして、
心身のバランスを崩しやすいとも言われているようです。

ついこの前まで寒くて灰色っぽくて、固まってる感じだった世界が
日に日に色が変わっていって、花は咲くし虫は出てくるし
気温はころころ変わるし、花粉は飛ぶし。
「いつも通りにやれ」という方がちょっとおかしいかもしれません。

何となく不調になったりしつつ、それなりに日常をこなしてゆくのですが
自分が調子を崩している時は
自分以外の人は、何だか調子が良さそうで、幸せそうに感じられて
それが更に心の不調に追い打ちをかけてくる。困ったものです。
他の人も、それぞれに精一杯に生きていると判っていても
自分のモヤモヤを持て余してしまって、更に落ち込んだり。
誰でも心当たりのあることでしょう。

毎度クリスチャンでもないのに、聖書から言葉を貰って来ますが
「義人はいない、ひとりもいない」というのです。
私は、この言葉を聞いた時に「助かったぁ」と思いました。
「義人」は正しい人、完璧な人。
誰ひとり、そんなたいそうなものではない、というのです。
「義人ではないし、義人にはなれない」人間とは小さい存在なのだ、と
そう解釈をするところなのでしょうが、私はそっちにはいかず、
「義人にならなくていい」(ヤッター）と受け取ってホッとしたのです。

どうにも「義人」を目指させる雰囲気というか、圧力がある世の中ですから
大なり小なり、義人ではない自分や誰かを貶める方向に行きやすい。
「私が悪い」「彼らが悪い」と、やらなければならない方に押し流される。
それをひとしきりやってしまった後で、やっちまったぁと自己嫌悪に陥る。
全部ひっくるめて、義人ではないヒトの愛おしさと私は思います。

あえて申してしまいますが、義人ではないことは、人として大切な要素です。
正しくもなく、完璧でもなく、欠けたところだらけで、それぞれにポンコツ。
それゆえに、気持ちをゆるめ、互いに支えあい助けあって、生きられます。
正しい人、完璧な人ばっかりだったら、どうでしょう。
‥‥‥‥‥私は、息が詰まります。そんな世の中はごめんです。
義人ではない、ポンコツ上等。ﾎﾟﾝｺﾂ٩( ” ᐕ)و”٩( ” ᐕ)و”ﾎﾟﾝｺﾂ
胸を張って木の芽どきを生きてまいりましょう。

どなたさまも、よき夜を、よき一週間を。

「鉛筆で描いた猫」展に出品した作品の一部と言葉で構成しました。
お楽しみ頂けましたら幸いです。

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